星の砂

                            ７
                         マギー

　チェンリーがシャンドウの言ったとおりに部屋で待っていると、白く長いドレスを着
たマギーが動く椅子に乗り、憂鬱な表情で入ってきた。
「どうしたんだ、顔色がよくないが。」
「ええ、大丈夫。重力酔いってやつかな。」
　マギーは、チェンリーに手に持っている小型のコンピュータを見せた。
「報告書です。」
　そういうと、椅子から立ち上がりベットに倒れてしまった。
「おやすみなさい、もう四十時間も寝てないの。」
　チェンリーは、目をつぶったマギーにシーツをかけてやり、自分は窓に腰をかけ報告
書を読みはじめた。

　　　　　AD2290  8/25   マギー報告
　
　平和の民ヌクレルは、過去（年代不明）の文明を堅持する使命をもっている。
忘れられた文明を守るために、独自の法律（或いは、戒律）をかたくなに守り、この惑
星に散らばった人類から隔離された状態で、現在に至った。
　第一議長とは、彼らの祖先が残したコンピュータのことであり、その娘と呼ばれる者
がヌクレルを統合している。
　ヌクレル以外の人類は、惑星上に散らばり文明を無くした。その理由は、この惑星に
は植物と昆虫とも思われる生物しかおらず、食料としての植物に不自由しなかったこと
が原因の一つだと思われる。これは、第一議長と賢者の見解であり、ヌクレルの民も信
じている。
　第一議長は、優れたコンピュータであるがゆえに数千年に渡って故障を起こすことが
なかった。しかし、惑星上に新たな文明を開いた人類の戦争の影響により、エラーがつ
づいているが、ヌクレルの民は第一議長を直す技術を忘れてしまった。
　その上、惑星上の戦争が激化、ついに核兵器が実験段階に達した。そこで、第一議長
の安全装置が作動し、衛星に埋めてあったコンピュータ（カイダル）が再起動。そし
て、この恒星系外の人類に救助信号を送った。
　この島アスレは、高度なテクノロジーによって外界から関知できない措置がとられて
いるが、その措置も第一議長のエラーによって戦争を行っている者に関知されるのも時
間の問題である。
　以下　音声による報告
「船長、大変な事態よ。私一人で第一議長の修復をすると、何年かかるか分からない
わ。でも、心配しないでカイダルは第一議長のマニュアルみたいなものだったの。とも
かく、今は寝ます。それから、船長の通信機で第一議長と直接はなせるようにしたか
ら、質問は議長にしてね。ここまで、第一議長から聞き出すまで大変だったんだから
。」

　追伸　個人的メッセージ

　シャンドウは、クローン。数千年に渡って、同じ女性のクローンが生み出されてき
た。シャンドウは、シャンドウしか生まない。

　報告終了